

不動産は膨大な価値を有する「資産」です。しかし、相続に伴う税金や条件によっては重い負担となることがあります。
両親や親戚から住宅、アパート、マンション、土地などの不動産を相続した場合、その処理に悩んでいる方もおられることでしょう。
不動産を相続した際に、確認しておきたい重要なポイント、不動産相続において最低限必要な協議事項について説明します。
不動産相続で重要な3つの確認事項
ご両親や親族の他界による相続手続きは、多くの人にとって避けては通れません。しかし、実際に当事者となるまで、その手順や関連する法律など、ほとんどの方が知らないのではないでしょうか。
国税庁のデータには相続財産の約40%が不動産であると示されており、不動産相続に関して知っておきたい情報があります。まずは不動産相続を滞りなく行うために必要な確認事項について説明します。
確認事項 ❶
遺言書の確認
遺言書は、個人が死亡した際にその財産や財産の分配に関する最後の意志や指示を書き記した法的文書であり、個人の最終意志を尊重し、財産の分配に関する不確実性を減らすために非常に重要です。ゆえにまずは遺言書の有無を確認する必要があります。遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
自筆証書遺言 | 遺言者が自書し、押印した遺言書 |
公正証書遺言 | 公証人が遺言者から聴き取った遺言内容を記述した遺言書 |
秘密証書遺言 | 遺言者が自書した遺言書を公証役場に持ち込み、内容は伏せた状態で証明された遺言書 |
確認事項 ❷
相続人の確認
遺された財産の相続権を有する人は民法で明確に定められています。特定のケース(遺言書等)を除いてその範囲に当てはまらない場合は相続人としての資格を持ちません。
遺言書に相続人について記されていなかった場合、民法で定められた法定相続人が財産を相続することになるので、戸籍謄本から親族関係となる人を洗い出し、法定相続人を確認する必要があります。
確認事項 ❸
財産の確認
固定資産税の納税通知書があると土地・建物等の遺された不動産は確認できます。相続財産の総額は、不動産以外の現金や銀行に預けられた資産など、遺産総額を算出し計算します。
故人に多額の借金や債務があった場合、相続を放棄すれば返済の義務がなくなります。相続開始から3ヶ月以内に手続きを済ませる必要があります。
遺産分与を決める遺産分割協議

相続人と相続財産が確定したら、相続人全員で遺産分割について話し合いします。これを「遺産分割協議」と言い、合意が得られたら「遺産分割協議書」を作成します。
全員の合意が得られない場合は、家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申し立て解決を目指すことになります。遺産分割調停は、中立的で公正な第三者である調停人(または調停委員)が関与し、相続人たちと協力して遺産の分割について合意を形成する手続きです。調停人は紛争を解決するために仲介し、合意が成立すると調停協定が結ばれます。
調停で合意が得られない場合は「遺産分割審判」に移行し、裁判官が遺産の分割方法を決定します。この際、遺産の性質や権利関係、その他の事情が考慮されます。
不動産相続でトラブルにならないために・・・

遺産相続は経験や知識がない状態で直面する場合が多く、円滑に進まないことがあります。また、金銭がからむ問題なので家庭内、親類内でのトラブルが生じやすいのも事実です。
特に不動産相続は現金とは違い分割が難しく、予期せぬトラブルの原因になりかねません。複雑な不動産相続は、相続人が多かったり、不動産資産が複雑な構造をしている場合などに生じやすく、以下にその特徴やトラブルにならないために取り組むべきポイントについて簡単に説明します。
このような複雑な不動産相続に対処するには、法的アドバイスを受けることが重要です。弁護士や税理士などの専門家に相談し、公正で円滑な相続手続きが進むようサポートを求めることが必要でしょう。