会津若松市

会津若松市

会津若松市の住宅地は、アベノミクス以降の、この9年間で5.2%上昇しました。また、2021→22年の公示地価については、住宅地は前年比で0.1%のプラス、商業地は1.2%のマイナスとなっていました。

具体的には、北側の国道49号線沿いや、南側の県道401号線沿いなど、旧城下町より外側にある大きな道路沿いで上昇率が高いようです。これらの大きな道路沿いには、大きめのお店がたくさんあるため、車での移動が基本の会津若松市では、この辺りのエリアが人気となりやすかったようです。新型コロナ以降も、中心部に近い住宅地では安定していたものの、商業地では大きく下落していました。中心部の住宅地が安定しているのは、IT系企業の雇用が安定しているためでしょう。

会津若松市独自の政策として、首都圏に本社を置く企業の地方拠点として、スマートシティ会津若松を立ち上げ、市内の雇用を増やそうと動いてきました。アクセンチュアという世界でも一流のコンサルタント会社がこの施策に関与してきたこともあり、NECや三菱商事、ソフトバンクなどの日本の超一流企業の社員も会津若松市で働くようになったのです。

IT系企業による雇用が増えてくると、生活と仕事の利便性を求め、市街地に住む人が増えますし、会津若松市としても周辺の住環境を整備するようなバックアップも行なっています。そのため、中心部に住みたいというニーズは安定して残り、土地価格の安定化につながっていると考えられます。

郡山市

郡山市の住宅地は、アベノミクス以降の、この9年間で21.4%上昇しました。また、2021→22年の公示地価については、住宅地は前年比で2.3%のプラス、商業地は1.3%のプラスとなっていました。ほぼ全域で上昇しています。

特に大きく上昇しているが国道4号線沿いです。郡山駅の周辺も上昇していますが、むしろ郊外の方に人気が高かったようです。また、駅より東側の、阿武隈川周辺では、下落しているエリアがチラホラと見られますが、2019年の台風19号による洪水被害も関係していると思われます。

新型コロナ以降は、住宅地に関していえば、コロナ前と変わらず上昇傾向にありますが、商業地では売り上げ減少の影響もあって、郡山駅に近い地価の高いエリアほど下落しています。また、コロナ以前は国道4号線沿いの郊外エリアほど上昇傾向にありましたが、コロナ後は、もっと中心部に近い住宅地ほど上昇しています。

福島市

福島市

福島市の住宅地は、アベノミクス以降の、この9年間で21%上昇しました。また、2021→22年の公示地価については、住宅地は前年比で0.7%のプラス、商業地は0.5%のプラスとなっていました。かなり広範囲にわたって、土地価格が上昇しています。

駅から離れた郊外であっても、10〜20%程度の上昇をしているエリアがいくつも見られます。一方で、福島駅周辺の商業地では、それほど上昇していませんでした。

新型コロナ以降も、それほど傾向は変わっていません。福島駅周辺では、コロナによる売り上げ減少の影響もあって、商業地で下落が進んでいますが、住宅地に対する需要は高く、2年で5%以上の上昇をしているところもチラホラ見られます。その理由は、おそらく県外への移住が難しくなったことで、県内の大都市である福島市や郡山市に仕事を求める人が増えているからでしょう。

まとめ

新型コロナ以降、上昇している市町村は、福島市と郡山市の周辺のみとなっています。新型コロナで、飲食店や観光業など、さまざまな業種で売り上げ減少が起こっているのは確かです。

ですから、県内の他の市町村では仕事が減っている可能性が高い一方、大都市である福島市や郡山市に人気が集中しているのでしょう。これは、福島県に限らず、山形県や岩手県、秋田県などでも見られる現象です。